【君(ペット)がいるから】徳田竜之介 犬猫にも目立つ認知症(西日本新聞)
私たちが街頭で募金活動をしていると、たくさんの方が連れてきたワンちゃんたちを撫でてくれます。 同時に「かわいいね~~~。」などの声をかけてくれるのですが、ワンちゃんたちにとってこれはとても大切なことなんです。 声をかけてあげる。優しく撫でてあげる。 家族の一員として一緒にいる以上、当たり前のようにも思えますが、毎日いるからこそペットの存在が「モノ」になってしまったという例などが以下の記事に書かれていました。 人間と同様に動物も年をとります。その時にも最後まで愛犬、愛猫として接してあげて欲しい。 そんな風に感じてもらえればと思います。 こちらは西日本新聞の朝刊(生活面)でシリーズ化されている記事です。毎日一緒に過ごしているからこそ読んでいただきたい内容です。
(記事はコチラから) 「その猫、持ってきて」「そこに犬、置いといて」-。動物病院の新人スタッフは、違和感もなく、こう口にするような間違いをたまに犯してしまいます。 動物は「連れてくる」であり、決して「持ってくる」であってはいけません。 この認識を徹底するため、心掛けてほしいことの一つが、動物に話し掛けること。朝起きたら自宅のペットに向かって、家族や友人にするように声を掛けるのです。「おはよう。今日は体調よさそうだね」などと、常に対等な目線で語り掛けます。 さらに、コミュニケーションに加えてほしいのが、体に触れること。特に、老犬や老猫には非常に大切です。老犬・老猫の飼い主はよく「寝ているから、そっとしておいて」と言いますが、これは正解のようでちょっと違います。 犬は1日のうち18~20時間は寝ています。年老いた犬猫は、さらによく寝ます。「よく寝ているから」とずっとそのままにしていたら、だんだん刺激を受けることが少なくなって、老化が加速します。気持ち良さげに眠っていたとしても、いつもそっと触れてあげてほしいのです。 最近は獣医療の進化により、ペットも高齢化しています。それに伴い、認知症を発症するケースも目立っています。犬に比べると少ないものの、猫も発症します。 人間のアルツハイマー型認知症と似て、徐々に進行します。早ければ11歳で発症し、13歳を過ぎると症例は急増します。もの忘れや夜鳴き、家から抜け出しての徘徊(はいかい)などが出てくる場合があります。 飼い主の手に負えなくなることも少なくありません。最近、飼えなくなった老犬を世話する「老犬ホーム」が増えていますが、竜之介動物病院(熊本市中央区)も入院施設の一部を老犬ホームとして、認知症の犬や猫を世話しています。 ペットの認知症は根本的な治療法はありません。「名前を呼んだときの反応が鈍くなった」などの初期症状を見逃さず、病気の進行を遅らせることが重要です。 人間も同じですが、年を取れば聴覚や視覚などの感覚はだんだん鈍くなります。老化を遅らせる一番の薬は、刺激だと思います。体をなでることで皮膚から、飼い主の「気」というやさしい刺激が伝わります。 語り掛けることが、ペットの脳細胞を活性化させます。どこでも気軽にできるこの穏やかなコミュニケーションが、ペットの老化を遅らせます。 世の中には「言葉を持たない動物たちは感情もない」と誤解している方々もいます。一方で、私たちは言葉を持たない動物たちの声なき声を理解しようと学んでいます。 動物たちの一生は、私たち人間の人生の縮図のようなものです。同じ命として、区別されることがない世の中であってほしいと願います。 (竜之介動物病院長、熊本市) ※この記事は2016/10/27付の西日本新聞朝刊(生活面)に掲載されました。